コラム
原状回復工事・店舗内装解体|クリアジャパン株式会社【全国対応】
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コラム
オフィスの移転や店舗の閉店が決まり、原状回復工事が必要になった。
しかし、「一体いくらかかるのか、見積もりが適正なのか分からず不安だ」「法外な費用を請求されるのではないか」といった、多くの事業者が直面する切実な悩みを抱えてはいないでしょうか。
原状回復工事は、多額の費用が発生する可能性がある一方で、その内容や費用構造は非常に専門的です。知識がないまま進めてしまうと、本来支払う必要のない費用まで負担させられるリスクも少なくありません。
この記事をお読みいただければ、原状回復工事の費用相場はもちろん、コストを適正化するための具体的な交渉術、信頼できる業者の見極め方まで、意思決定に必要な全ての知識が手に入ります。
そしてこれにより、不安を解消し、自信を持ってプロジェクトを推進できるようになります。
本記事は、数多くの商業施設の原状回復工事を手掛けてきた弊社クリアジャパンの知見に加え、国土交通省が公表する『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』の内容をもとに、客観的かつ専門的な視点から執筆しています 。
目次
具体的な費用の話に入る前に、原状回復工事の定義と、誰が何を負担するのかという大前提を明確にしましょう。この基本原則を理解することが、後のトラブルを未然に防ぎ、不必要な出費を避けるための第一歩となります。
まず最も重要な点として、「原状回復」とは「入居時と全く同じ新品同様の状態に戻すこと」ではありません 。
法律上、そして国土交通省のガイドラインが示す考え方では、原状回復とは「借主の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。
つまり、普通に使っていて自然に古くなったり汚れたりした部分(通常損耗・経年劣化)まで、全て元通りにする義務はないのが原則です。
なお、オフィスや店舗といった事業用物件における原状回復工事は、単に部屋を綺麗にする以上の目的を持っています。
この定義を正しく理解することが、後述する費用負担の交渉において極めて重要になります。
(参考)国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版):https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000021.html
原状回復費用の負担範囲を決定づけるのは、法律(民法)、賃貸借契約書の「特約」、そして国土交通省のガイドラインという3つの要素です。
その優先順位は原則として「法律 → 特約 → ガイドライン」となりますが、それぞれの関係性を理解することが不可欠です 。
借主が費用を負担するのは、故意(わざと)や過失(うっかり)、または通常とはいえない使い方によって生じた損傷です。これらは「特別損耗」と呼ばれます。
【借主負担となる具体例】
一方、時間の経過とともに自然に発生する劣化(経年劣化)や、契約通りに通常の使用をしていて生じる損耗(通常損耗)の修繕費用は、原則として貸主が負担します。これらのコストは、毎月の賃料に含まれていると考えられているためです 。
【貸主負担となる具体例】
以下の表は、貸主負担と借主負担の一般的な例をまとめたものです。見積書をチェックする際の参考にしてください。
部位 | 貸主負担(経年劣化・通常損耗)の例 | 借主負担(特別損耗)の例 |
---|---|---|
壁・天井 | 日照によるクロス変色、画鋲の穴、テレビ裏の電気ヤケ | タバコのヤニ汚れ、落書き、ネジ釘の穴、結露を放置したカビ |
床 | 家具の設置跡、日焼けによる色あせ、通常使用による摩耗 | 引っ越し作業でつけた傷、重量物による凹み、飲みこぼし等のシミ |
設備 | 設備の耐用年数経過による故障(エアコン、給湯器等) | 手入れを怠ったことによるキッチンの油汚れ、風呂場のカビ |
ここで重要な役割を果たすのが、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です 。
このガイドラインは、元々は居住用賃貸住宅のトラブル防止を目的として作成されたものですが、オフィスや店舗のような事業用物件に関する明確な公的指針が存在しないため、裁判所の判例などにおいても、
貸主と借主の負担割合を判断する際の「社会通念上、合理的な基準」として広く参照されています 。
事業用物件の契約で特に注意が必要なのが「特約」の存在です。
契約書に「通常損耗や経年劣化についても借主の負担で修繕する」といった特約が記載されている場合、ガイドラインの原則よりもこの特約が優先されることが多くあります 。
しかし、この特約が常に万能というわけではありません。
2020年4月に施行された改正民法では、貸主が通常損耗を借主に負担させる特約を設ける場合、その内容を契約時に明確に示し、借主がそれを理解した上で契約することが求められるようになりました 。
つまり、契約書に曖昧な文言で記載されているだけ、あるいは契約時に十分な説明がなかった特約は、消費者契約法上の不当条項として無効と判断される可能性も残されています 。
この「契約書の特約」と「ガイドラインが示す合理的な基準」の間の緊張関係を理解することが、不当な請求に対する交渉の鍵となります。
ここからは、事業者の皆様が最も知りたい具体的な費用相場について解説します。
費用は物件の規模、グレード、業態、内装の状態によって大きく変動するため、「坪単価」と「工事内容別の単価」の両面から把握することが重要です。
オフィスの原状回復費用は、規模が大きくなるほど、またビルのグレードが高くなるほど坪単価も上昇する傾向にあります。
これは、大規模・ハイグレードなビルほど、空調や防災設備が複雑であったり、使用されている建材が高品質であったり、工事に際しての制約(夜間工事指定など)が厳しくなったりするためです 。
オフィス規模 | 坪数目安 | 一般ビル | ハイグレードビル |
---|---|---|---|
小規模オフィス | ~30坪 | 3万円~8万円 | 5万円~10万円 |
中規模オフィス | 30~100坪 | 5万円~12万円 | 8万円~15万円 |
大規模オフィス | 100坪~ | 8万円~20万円 | 15万円~40万円以上 |
上記の金額はあくまで目安です。間仕切り壁の数や特別な造作の有無によって、費用は大きく変動します。
店舗の原状回復費用は、業態によって大きく異なります。
特に飲食店は、厨房設備や給排気ダクト、グリーストラップといった専門設備の撤去・清掃が必要になるため、他の業態に比べて高額になるのが一般的です 。
業態 | 坪単価相場 | 備考 |
---|---|---|
飲食店(重飲食) | 8万円~20万円 | 厨房、排気ダクト、グリーストラップ等の撤去で高額化 |
飲食店(軽飲食) | 5万円~10万円 | 重飲食よりは安いが、水回りや排気設備の撤去は必要 |
物販・小売店 | 3万円~8万円 | 内装の造作が少なければ比較的安価 |
美容室・サロン | 3万円~15万円 | シャンプー台など水回り設備の撤去が費用を左右 |
クリニック | 3万円~8万円 | レントゲン室など特殊な設備がなければ他店舗と同等 |
また、退去時の状態として「スケルトン返し(建物の構造躯体だけの状態に戻す)」を求められる場合は費用が最も高くなります。
一方で、次のテナントに内装や設備をそのまま引き継ぐ「居抜き」での退去交渉が成功すれば、工事費用をかなり抑えることも可能です。
提示された見積書が適正価格か判断するために、工事項目ごとの単価相場を把握しておきましょう。
「一式」という曖昧な表記ではなく、各項目が単価と数量で明記されているかを確認することが重要です。
工事内容 | 単位 | 費用相場 | 備考 |
---|---|---|---|
クロス張替え | m2 | 1,000円~1,800円 | 量産品か高機能品かで変動 |
床タイルカーペット交換 | m2 | 2,500円~4,500円 | |
塗装工事(壁・天井) | m2 | 800円~2,000円 | |
内部造作・間仕切り解体 | 一式 | 10万円~ | 規模、材質による。m2単価の場合もある |
電気・照明工事 | 一式 | 5万円~ | 照明器具の撤去・交換、配線整理など |
設備(空調・防災)工事 | 一式 | 10万円~ | 専門性が高く、B工事に指定されやすい |
ハウスクリーニング | m2 | 500円~1,500円 | 専門業者による清掃 |
産業廃棄物処理費 | 一式 | 3万円~ | 解体物の量と種類による。m3単価の場合もある |
費用相場を理解した上で、次はコストを具体的に削減するための実践的な方法をご紹介します。受け身で請求を待つのではなく、能動的に動くことで費用は大きく変わります。
原状回復工事の費用を適正化するための最も基本的かつ効果的な方法は、必ず2~3社から相見積もりを取ることです 。1社だけの見積もりでは、その金額が高いのか安いのかを客観的に判断できません。
相見積もりを比較する際は、総額だけでなく、以下の点を重点的にチェックしてください。
オフィスビルの工事には、費用負担者と業者選定者の組み合わせによってA工事・B工事・C工事という3つの区分があります。この区分を理解することが、コスト削減の大きな鍵となります。
ビルの躯体や共有部分など、建物全体の基本構造に関わる工事。
空調、防災設備、防水など、借主の専用部分でありながら建物全体に影響を及ぼす工事。
内装仕上げ、電話・LAN配線、什器設置など、借主が自らの責任と費用で自由に行える工事。
ここで最も注意すべきは「B工事」です。借主が費用を負担するにもかかわらず、工事業者は貸主が指定した業者しか使えません 。そのため競争原理が働かず、費用が相場よりも高額になりがちです。これが「B工事の罠」とも言える構造的な問題です。
この状況を打開するための交渉戦略は以下の通りです。
「居抜き退去」とは、設置した内装や設備を解体・撤去せず、そのままの状態で次のテナントに引き継いで退去する方法です。これが成功すれば、原状回復費用を大幅に削減することも可能です 。
メリット
デメリット
貸主の承諾を得やすくするためには、日頃から物件を綺麗に使い、多くの業態で利用しやすい汎用的な内装を保っておくことが交渉を有利に進めるポイントになります 。
見積書を最終チェックする段階では、賃貸借契約書と国土交通省のガイドラインに立ち返り、本来負担する必要のない工事が含まれていないかを徹底的に精査します。
以下の質問を自問自答しながら、見積書の項目を一つひとつ確認してください。
一つでも疑問に思う項目があれば、遠慮なく業者や貸主側に説明を求め、納得できるまで交渉することが重要です。
ここでは、実際に工事を発注してから完了するまでの具体的な流れと、後悔しないための信頼できる業者の選び方を解説します。
適正価格で質の高い工事を実現するには、信頼できる業者選びが最も重要です。以下の4つのポイントを必ず確認してください。
自社が借りている物件の業態(オフィス、飲食店、物販店など)や規模、立地(商業施設内など)と類似した工事の実績が豊富にあるかを確認しましょう。
特に、弊社のように大型商業施設内の原状回復工事を数多く手掛けている業者は、施設特有の厳しいルールや貸主側との複雑な交渉にも精通しており、スムーズな進行が期待できます 。
「一式」という言葉でごまかさず、工事項目ごとに単価や数量が明確に記載された、透明性の高い見積書を提出してくれるかどうかが重要です 。
見積もりの不明点について質問した際に、ごまかさずに論理的かつ丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
問い合わせに対するレスポンスは迅速か、専門的な質問に的確に答えられるか、こちらの要望に対して親身に相談に乗ってくれるかなど、担当者のコミュニケーション能力や誠実さも重要な判断基準です 。
コスト削減につながるようなプロ目線の提案をしてくれる担当者は、信頼できるパートナーとなり得ます。
コンプライアンスの観点から、業者が法的に必要な許認可を保有しているかの確認は必須です。これは業者の信頼性を担保する最低条件です。
建設業許可
500万円以上の工事を請け負う場合に必須となる許可です。
国土交通省が運営する「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、許可の有無や有効期限を誰でも確認できます 。
産業廃棄物収集運搬業許可
解体工事で発生した廃棄物を自社で運搬・処分するために必要な許可です。無許可の業者に依頼すると、依頼主(借主)も不法投棄の責任を問われる可能性があります。
この許可は、環境省所管の「産業廃棄物処理業許可 行政情報検索システム」で確認可能です 。
これらの公的なデータベースで事前に確認することで、無許可業者との契約リスクを回避できます。
最後に、原状回復工事に関してよくある質問をQ&A形式でお答えします。
本記事では、オフィスや店舗の原状回復工事に関する費用相場からコスト削減のコツ、信頼できる業者の選び方までを網羅的に解説しました。最後に、重要なポイントを改めてまとめます。
原状回復工事は、専門的な知識が求められる複雑なプロジェクトです。
しかし、正しい知識を身につけ、信頼できるパートナーを選べば、費用を適正化し、スムーズに退去手続きを完了させることが可能です。
もし、あなたがオフィスの移転や店舗の原状回復でお悩みなら、まずは専門家にご相談ください。
弊社クリアジャパンは、全国の商業施設における豊富な実績と交渉力で、お客様に最適なソリューションをご提案します。無料のお見積もりやご相談から、まずはお気軽にお問い合わせください。
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